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入門講座 陰陽五行とフィトテラピー講座 【長夏編】

陰陽五行では春夏秋冬の他にもうひとつ「長夏(ちょうか)」という5つめの季節があります。

本来なら夏の終わりの湿気の多い時期を指しますが、日本の梅雨に気候が似ているので

日本では梅雨に当てはめて考えることが多いそうです。

雨の日が続くと、からだが重くなり、頭痛や冷え、むくみ、関節痛など体調を崩しやすくなります。

何となく憂うつな気分になり、食欲もなくなると元気が出ないなんていうことに。

この高温多湿な梅雨という時季を健やかに過ごすためのヒントや

ハーブやアロマの活用法についてもお話ししていきます。

「長夏(ちょうか)」とは

陰陽五行では、夏と秋の間の高温多湿の時季を「長夏」といい、五季に分けます。

また「夏土用(なつどよう)」とも言われます。

春→夏→長夏→秋→冬

暦では、春夏秋冬の季節の変わり目ごとに土用が置かれ

木(春)→ 土 → 火(夏)→ 土 → 金(秋)→ 土 → 水(冬)→ 

となります。

本来、長夏は夏の終わりから初秋の大暑・立秋・処暑・白露(7/23頃〜9/22頃)の4つの節気間を言います。

これは中国の中原地方での気候条件を前提にしたもので、一年のうちで最も暑く、最も雨が多い季節ですが、日本では梅雨や秋の長雨の時期に当てはめる場合があります。

梅雨の時期、外邪は「湿」となり、五臓五腑は「脾・胃」が活発になり、また負担がかかりやすくなります。

「脾」は西洋医学では消化器の総称にあたり、からだの元気を作ったり、水分を代謝する役割をしています。

梅雨時季に見られるさまざまな不調

・むくみ だるさ

湿度の高いジメジメした気候では、からだの中にも「湿気」が溜まりやすく、デスクワークなどで座っている時間が多いとふくらはぎなどがむくみやすくなります。

・頭痛 頭重感 関節痛

気圧や気温、湿度の変化により、この時期多い悩みは頭痛です。

さらにエアコンでからだが冷えてしまうと水分のめぐりが滞りがちになり、関節痛なども引き起こします。

・食欲不振 胃もたれ 下痢

「湿邪(しつじゃ)」によって消化機能が低下しやすく、普段と同じ量でも消化吸収しきれないことに。

「湿」によって胃腸の働きが悪くなり、胃腸の働きが悪いとからだの中に「湿」を作ってしまいます。

体内の水分が上手に排出されないと、血液がどろどろになって血流が悪くなり、酸素や栄養を運ぶ能力が低下し、老廃物の除去にも影響が及ぶことに。

・気分が落ち込む 憂うつ

日照時間が短く、室内外の温度差による自律神経疲労が続くとストレスとなり、気持ちが沈みがちになります。

長夏の六味「淡」

陰陽五行の五味、酸(すっぱい)、苦(にがい)、甘(あまい)、辛(からい)、鹹(塩からい)はそれぞれ関係の深い五臓に作用し、五臓を養います。過不足になるとその臓腑を悪くし、毎日適切に摂取されるとからだの機能を高めてくれます。

長夏(土用)に対応する五臓は「脾」。脾臓やすい臓、胃など消化器官をあらわします。

五味は「甘」。疲れを改善し、虚弱を補う、脾胃を調和、痛みを和らげる作用のある食材を摂ります。

中医薬膳では6つめの六味「淡」があり、対応する五臓は「脾・五蔵」

湿を取り除く、脾の働きを促進・食欲を誘う作用のある食材を摂るといいとされます。

長夏の時季は「痰湿(たんしつ)」といって水分代謝がうまくいかず、水分が停滞し不要な物質が溜まっている状態になりやすいときです。

「痰湿」を除く食材を摂り、水分代謝のいいからだを目指します。 

・おすすめの食材

玄米・はと麦・海藻・きのこ・たけのこ・根菜・こんにゃく・緑豆など

・避けたり、控えたい食材

肉・卵黄・魚卵・脂っぽいもの・味(甘すぎる、しょっぱ過ぎる)の濃いもの・冷たい飲み物

これらの食材はからだに湿気を生む原因になるので避けましょう。

からだの中の「湿」を除き胃腸の働きを助けるハーブティー

長夏時季は、以下のことに注意しましょう。

  • 食べ過ぎない
  • 冷やさない
  • 温かいものを摂る

飲み物は食事と同じくらい重要です。

飲み物・ハーブティーは、からだをケアして、不調をサポートしてくれる身近なアイテムであると言えます。

からだの中の余分な水分を取り除き、胃腸の働きを助けるハーブティーで重くなりがちなからだをケアしていきましょう。

また、いくつかのハーブをブレンドすることで相乗効果があったり、お味が良くなり飲みやすくなったりします。

いつも飲んでいるハーブに、不調をケアするハーブをブレンドするのもいいですね。

エビスグサ(ハブ茶)

ゴボウ

ジャーマンカモミール

ジュニパーベリー

ジンジャー

スギナ(ホーステール)

スペアミント

ダンディライオン

バジル

ハトムギ

ペパーミント

リコリス

長夏時季の過ごし方

まず、無理をせず穏やかに過ごします。

疲れを溜め込まないように気をつけましょう。

疲労が溜まると「湿邪」の侵入を招いてしまいます。

梅雨は雨が多く大地を潤し、農作物が豊かに育つ「生養」の季節。

精神的に思い悩むことを控え、楽しむことを心がけるようにしましょう。

梅雨冷えは温めてアロマでめぐりアップ

雨が降り続く梅雨時季は、梅雨寒といわれる気温が低い日も多いもの。

エアコンや除湿機は室内の湿気を取り除くのに便利ですが、気がつかないうちに冷えすぎてしまうこともあるので注意しましょう。

湿度が高いと血行が滞りやすくなります。

なので、お風呂に入るなどしてからだを温めるといいですね。

からだを温めることで体内の水分代謝を高め、湿気を汗として発散させます。

また、ヨガやストレッチは筋肉を緩め、内臓も刺激されるので余分な水分を出しやすくします。

なるべくからだを動かし、湿を溜め込まないからだ作りを目指しましょう。

頭痛 頭重 肩こり

湿度の高い時期の頭痛は、血流が悪くなっていることが原因に。

まず、温めて血行を良くします。ペパーミントのアロマオイルは鎮痛効果があるので、こめかみに塗ったり、頭皮をマッサージするとよいでしょう。

注)アロマはキャリアオイルに混ぜてから使いましょう

むくみ だるさ 関節痛

足のむくみは、冷えと血行不良によって起こります。

ゴボウジュニパーベリーダンディライオンハトムギなど、からだの中の「湿」を取り除く作用のあるハーブティーを飲んでから、血液やリンパの流れを良くするローズマリーのアロマオイルで、ふくらはぎを下から上にマッサージします。ローズマリーは関節痛にも。

注)アロマはキャリアオイルに混ぜてから使いましょう

憂うつ 気分の落ち込み

曇りや雨の日が多いと何となく憂うつになって、やる気も出ないものです。

こんなときは太陽の光のありがたみに感謝せずにはいられませんね。

ハーブティーやアロマの香りで気持ちを持ち上げましょう。

熱いお湯を入れたマグカップに、オレンジスイートベルガモットのアロマオイルを数滴垂らして芳香浴を。

体内の気のめぐりをよくしてくれます。

不眠

自律神経バランスが乱れて交感神経優位のままだと不眠に陥りがちになります。

フランキンセンスの香りで緊張をほぐして、リラックスすると安眠につながります。

梅雨の家事にもアロマを活用

この時季は家の中も湿気がこもらないよう、風通しの良い住環境にしていきます。

衣替えのあとのクローゼットや玄関・下駄箱など、においや湿気が気になりませんか?

そんな時は防虫・抗菌・殺菌作用のあるアロマを活用してみましょう。

ブレンドすることで相乗効果が出たり、より深い香りになります。

クローゼットや下駄箱を開ける度に、いい香りに癒されますよ。

おすすめのアロマは、

ゼラニウム

ティートゥリー

ペパーミント

ラベンダー

レモングラス

ユーカリ などです。

タンスやクローゼットの防虫剤に

材料

  • お好きなアロマ5〜7滴
  • コットン
  • お茶パックなど不織布の袋
  • 麻やガーゼ、オーガンジーなど目の粗い袋

コットンにアロマを5〜7滴垂らし、お茶パックに入れ、さらに布製の袋に入れて出来上がり!

においや湿気を取るシューズキーパー

材料(1ペア)

  • お好きなアロマ15〜20滴
  • 重曹大さじ4〜5
  • お茶パックなど不織布の袋2枚
  • 薄めの布
  • リボンなど

容器に重曹とアロマを入れて混ぜ、お茶パックに入れ、布で包んだらリボンなどで結んで出来上がり!

まとめ

陰陽五行における「長夏」を快適に過ごす方法はいかがでしたか。

雨に濡れた紫陽花や花菖蒲のきれいな時季、雨の日の散歩も時にはいいものです。

長靴を履くと雨を気にせず歩けるので、童心にかえってわざと水たまりに入ってみたくなります。

植物の力を借りて、こころやからだに溜まりがちな「湿」をめぐらせ、元気に過ごしたいものです。

 

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